店舗開業.comでは日々色々な事業を調べております。
今回は、無人で収益化できる『コインランドリー』の事業について調べました。
店舗開業・開業のご参考にご活用下さい。
2019年独立行政法人中小企業基盤整備機構が発表したJ-Net21 『業種別開業ガイド・コインランドリー』を基に、以下7点を取り上げました。
*独立行政法人制度とは、各府省の行政活動から政策の実施部門のうち一定の事務・事業を分離し、これを担当する機関に独立の法人格を与えて、業務の質の向上や活性化、効率性の向上、自律的な運営、透明性の向上を図ることを目的とする制度
●コインランドリーの市場規模
●ビジネスの特徴
●コインランドリーの特徴
●注意点
●必要な手続き
●開業資金モデル
●収益化の視点
2019年独立行政法人中小企業基盤整備機構が発表したJ-Net21『市場調査データ・コインランドリー』を基に、以下3点を取り上げました。
●現在の利用状況
●一回あたりの利用金額
●今後の利用動向
2018年総務省統計局が発表した『平成29年就業構造基本調査』を基に、以下1点を取り上げました。
●夫婦共働き世帯の割合
独立行政法人中小企業基盤整備機構『業種別開業ガイド・コインランドリー』
コインランドリーの市場規模
- 日本の洗濯労働市場約5.2兆円
- 洗濯労働市場の約2%が1,000億円規模がコインランドリー市場であると推計されています。
- コインランドリーの店舗数
- 2001年の12,502店舗から、2013年には16,693店舗に増加、2017年には約2万店舗と発表しています。
店舗数の推移をみると市場は拡大傾向にあり、この背景としては、女性の社会進出増加に伴い家事時間がなくなりまとめ洗い需要が増加したことや、広い駐車場を完備した郊外型店舗が増えたことが挙げられるます。
ビジネスの特徴
- 粗利率が高く収入が安定
- 出店後は運営が容易で維持管理の手間がかからない
- 変形地や狭い土地でも運営が可能
このようなメリットを活かして、遊休地や空き店舗を利用して事業を始めるケースが多いです。
コインランドリーの特徴
- 洗濯という日常生活に欠かせないサービス
- 景気にあまり左右されない
- 一度顧客を獲得すればリピーターを見込みやすい
特に、コインランドリーの利用が多い20代男女や主婦層となる30代から40代の女性に好意的に受け止めてもらうことが重要です。
注意点
- 洗濯機や乾燥機を多数設置するため、洗濯機の騒音や振動、乾燥機からの排熱などの発生は避けられない
- コインランドリーは、商圏が狭く地域に密着したビジネスであるだけに、騒音・振動・排熱によって近隣住民に迷惑がかかることが無いよう、当初から配慮して出店することが求められる
必要な手続き
- コインランドリーはクリーニング業法の規制対象ではないため誰でも開業できる
- 自治体によっては、保健所に申請し「検査済証」の取得を求める場合がある
- 「コインオペレーションクリーニング営業施設」として各自治体の保健所に申請し「検査済証」の取得を求める自治体があるので、出店予定地の最寄りとなる保健所に確認する必要
開業資金モデル
独立行政法人中小企業基盤整備機構で開業資金モデルが記載されていました。
*持ち物件なのか家賃に関して掲載がない為、費用感モデルとして活用した方が良いと考えます。
リースの活用例として、概算となるが7年リースで毎月約30万円程度のケースを想定して開業モデルを以下に示しています。
収益化の視点
コインランドリーは、洗濯機・乾燥機などの機器により収益を生み出す装置産業です。
一方、機器の高性能化に伴い、洗濯・乾燥という基本的な機能では差を見出しにくくなっている為、「サービス面でいかに差別化を図るか」ということが重要です。
清潔
- 店内は、女性の利用(特に主婦層の利用)を想定した店舗の清潔さ
- 照明や内装は明るく、採光性が高い大きな窓、定期的な清掃
治安・風紀への対応
- 外から店内が見渡せることや、防犯カメラなどの設備の導入
- 無人店舗であれば、付近の住民と見回りの契約を結んでいるコインランドリーなどもある
- FC型であれば、委託による巡回を請け負っているところもある
- 緊急連絡先を店内に掲示するほか、「衣類の盗難や取り違えには責任を負えない」旨、明示しておく必要がある
売り逃し(機会損失)の予防
- 機械での機会損失
- 機械の利用方法や故障の際の連絡先などを掲示する
- 機械の故障、洗剤販売機の品切れ、両替機のコイン切れなど
- 空き時間での機会損失
- 初夏・初秋の雨季は乾燥機だけを利用したいというニーズが非常に高くなり一方、待ち時間での機会損失が発生
- 新聞・雑誌、イスとテーブルなどの設置
- 電源、無線LANの設置
- 飲料などの自動販売機を設置
- ITの活用
- 終了時刻をスマートフォンで通知する機能の導入
更なる付加価値
- 布団洗いができる
- ドライクリーナー
- スニーカー専用洗濯乾燥機
- 他業態店舗との併設
- 家事代行サービス
独立行政法人中小企業基盤整備機構『市場調査データ・コインランドリー』
現在の利用状況
現在の利用状況を見ますと、「ほぼ毎日」~「2~3カ月に1回」を合算した「利用率」は、全体で9%、男性10%、女性7%であり、男性の利用率の方が高い数値でした。
年代別・男女別でみて比較的利用率が高いのは、
①30代男性:16%
②20代男性・60代男性・20代女性:12%
でした。
一回あたりの利用金額
1回あたりの利用金額に関しましては、利用者層全体でみると、
①「500円~999円」:40%
②「300円~499円」「1,000円~1,999円」:21%
でした。
今後の利用動向
今後「ぜひ利用したい」と「どちらかといえば利用したい」を合わせた比率は、全体で23%、男性19%、女性27%であり、女性の利用意向の方が高い数値でした。
コインランドリーの利用に否定的な意向を持たない人の比率は、全体で56%、男性55%、女性57%であり、こちらも女性の利用意向がやや高い。
年代別・男女別にみると、積極的利用意向については20代の女性が高く、消極的利用意向は40代女性が高い。
総務省統計局『平成29年就業構造基本調査』
夫婦共に有業の世帯(夫婦共働き世帯) (全国で 1348 万8千世帯)の割合は全国 48.8%となっています。
①福井県:60.0%
②山形県:57.9%
③富山県:57.1%
となり、東京は44.0%、神奈川県は41.4%でした。
最後に
データより、コインランドリー事業は『利用した事がない割合』から、まだまだ市場の成長はあると予想します。
そして、共働き世帯は増加傾向にあります。
コインランドリー事業は共働きや忙しい労働世代が後押しする可能性が高く、また、家庭で洗えない物を洗える場所としての需要はあると予測します。
来店率を向上させる努力は必須ですが、小箱でも運営できる事は強みになるでしょう。
しかし、店舗数の増加と出店時の費用が大きく、長期的な資金回収計画が必要であり、差別化がしにくい事からサービス面での戦略は必要だと感じました。
長期的に小箱で来店率を向上させ、回転率を増加させれば、維持費が低く済み、利益を確保しやすくなると考えています。
他事業と併用させる事ができれば魅力的な事業であると考えていています。