店舗開業.comでは所感を通し、美容関連事業のご提案をさせていただいています。
しかし、美容業界も飲食業界も当たり前に考えておりましたが、改めて美容業界での美容室・理容室の店舗数がコンビニ店舗数の約6倍もあると知り、 今回、『美容室業態』の深掘りを書かせていただきます。
美容室開業・運営にご活用下さい。
2021年厚生労働省が発表した『令和3年度衛生行政報告例の概況』を基に、以下1点を取り上げました。
●生活衛生関係施設数の年次推移
2020年厚生労働省が発表した『生活衛生関係営業の生産性向上を図るガイドライン・マニュアル2022年度版』を基に、以下6点を取り上げました。
●パーマネント代、カット代の市場規模と美容営業施設当たり、従業美容師当たりの人口の推移
●経営上の問題
●今後の経営方針
●消費者が普段利用するお店の種類
●消費者の「美容室」を利用している方の利用するお店を決めている理由
●消費者のに「美容室」を利用している方の通っているお店に行くのをやめた理由
2018年厚生労働省が発表した『理容業の実態と経営改善の方策』を基に、以下4点を取り上げました。
●固定客の割合・店舗数の比率
●理容料金及び 1 世帯当たり年間支出額
●売上の動向と要因
●提供しているサービス内容別施設数の割合
2022年全国理美容製造者協会が発表した『サロンユーザー調査データ(女性調査)』を基に、以下7点を取り上げました。
●最近1年間のサロン利用回数
●利用金額の推移
●サロンへの要望・意見
●サロンへの要望・意見×最近のサロンで使った金額
●ヘアスタイル・デザイン変更の提案希望
●利用のきっかけ
●美容行為で重要視していること
厚生労働省『令和3年度衛生行政報告例の概況』
美容所の施設数の増加
厚生労働省『令和3年度衛生行政報告例の概況』生活衛生関係施設数の年次推移によると、
- 「理容所」は 114,403 施設で、前年度に比べ 1,053 施設(0.9%)減少
- 「美容所」は 264,223 施設で、6,333 施設(2.5%)増加
厚生労働省『生活衛生関係営業の生産性向上を図るガイドライン・マニュアル』
パーマネント代、カット代の市場規模
- カット代は僅かに拡大
- パー マネント代は2009年度の約2/3にまで縮小
美容営業施設当たり、従業美容師当たりの人口の推移
- 美容所数や美容師数が年々増加
- 美容営業施設当たり、従業美容師当たりの人口は減少している
経営上の問題
厚生労働省「平成27年度生活衛生関係営業経営実態調査」によると、美容所の経営上の問題点として、
①客数の減少
②店舗・施設の老朽化
③客単価の減少
④原材料費の上昇
⑤水道・光熱費の上昇
となっており、①客数の減少は8割が挙げています。
今後の経営方針
美容所の今後の経営方針としては、
①接客サービスの充実
②価格の見直し
③店舗・設備の改装
④廃業
⑤広告・宣伝等の強化
と上記が回答の多い項目となっています。
消費者が普段利用するお店の種類
- 女性
- 約9割が美容室を利用
- 年代が低いほど、利用割合が高くなっている
- 男性
- 男性も約3割が美容室を利用
- 20-30代の半数が美容室を利用
消費者の「美容室」を利用している方の利用するお店を決めている理由
利用するお店を決めている理由は、
男女ともに
①行きやすい場所にあるから
②担当者の技術や提案がよいから
③スタッフや客層の雰囲気が自分に合っているから
初めて行くお店を選ぶ条件として男女とも、
①料金が手ごろである/高すぎない
②自宅・職場からの行きやすさ
③スタッフの経歴・評判
の順になっています。
消費者のに「美容室」を利用している方の通っているお店に行くのをやめた理由
通っていたお店に行くのをやめた理由は男女ともに、
①『引っ越しや生活の変化で行けなくなったから』が最も多いです。
次に女性は、
②担当者の技術や提案がよくなかったから
③担当者が辞めたから
次に男性は、
②担当者が辞めたから
③担当者の技術や提案がよくなかったから
となっています。
厚生労働省『理容業の実態と経営改善の方策』
固定客の割合・店舗数の比率
固定客の割合別の店舗の全体に占める比率を見ると、
- 「90~100%」が固定客という店舗の比率は 58.9%
- 「80~90%」が 21.9%
- 平均すると81.0%の店舗が固定客中心
この高い固定客の割合が理容業界の特色であると記載されています。
理容料金及び 1 世帯当たり年間支出額
総務省の家計調査で見ると、年間理髪料支出金額及び利用回数は減り続けていています。
年間理髪料支出金額はこの12年間(平成17~28年)で見ると、
- 平成17年の 6,098 円が平成28年には 4,771 円と-1,327 円と21.8%減少
- 利用回数は同比較で2.01 回が 1.78 回と比率で 11.4%減少
- 1 回当たりの料金は平成17年の3,034 円が平成28年には 2,680 円、比率で11.7%減少し続けている
売上の動向と要因
前年度と比較した今年度の売上状況については、
- 「1~4%減少」が39.9%
- 「5%以減少」が 35.4%
- 全体の75.3%が前年度の売上から減少
- 個人経営については、
- 77.1%と8割近い施設が売上減少
- 株式会社については、
- 「減少」が52.1%
- 「増加」と回答した施設は30.4%
半数強が減少であり、理容業全体の厳しい実態が伺えます。
提供しているサービス内容別施設数の割合
提供している顧客サービスの実地内容としては、
①飲み物やマッサージのサービスを行っている
②在宅・施設等への訪問理容サービスを行っている
③高齢者や身体の不自由な方に介助等を行っている
④子供や高齢者、障害者等へのメニューの工夫を行っている
⑤特に無し
が上位5つの項目でした。
全国理美容製造者協会『サロンユーザー調査データ(女性調査)』
最近1年間のサロン利用回数
- 1年間のサロン利用回数
- 15~69歳の平均で5.7回
- 過去10年間は5.6~5.9回の間で推移
- 年代別サロン利用回数
- 利用回数が最も少ないのは15~19歳の4.7回
- 年代が上がるほど利用回数は増える
利用金額の推移
- 直近の利用金額
- 15~69歳の平均で7,883円
- 20年よりはダウンしたものの19年以前よりかなり高い水準を維持
- 20代(9,153円)をピークに、年代が上がるにつれ徐々に使用金額は減っていく傾向
サロンへの要望・意見
60~70%の人がサロンから「ヘアケア」や「ヘアスタイリング・アレンジ」、「ヘアカラー」についてアドバイスをして欲しいと感じています。
特に15~19歳・20代でサロンからのアドバイスを求める気持ちが強く、内容も「トレンド」のアドバイスや「カウンセリング」まで多岐にわたっています。
サロンへの要望・意見×最近のサロンで使った金額
- サロンからのアドバイスを求める気持ちが強いほど、利用金額が高くなる傾向
- 年代別にみると20代~30代、施術別にみるとヘアカラーでその差が顕著
ヘアスタイル・デザイン変更の提案希望
- 36.3%が美容師にヘアスタイル・デザイン変更を提案して欲しいと思ってる
- 特に30代以下では50%前後が希望している
- 提案された人のうち、82.1%が実際にヘアスタイルを変更
- 15~19歳(72.2%)と70代(73.8%)がやや低めだが、70%以上が提案を受け入れている
- 美容師から提案されてヘアスタイルを変更した人の満足度は高い傾向
- 91.4%が「(とても+やや)満足」と回答
- 最近1年で「提案があった」のは11.3%
- どの年代でも20年よりかなり減少してる
利用のきっかけ
利用のきっかけは、すべての年代に共通しており、
①「家の近所にある(58.4%)」が最も多く
②「リーズナブルな料金(43.5%)」
30代以下では「予約サイトにのっている」
15~19歳では「家族にすすめられて」も大きなきっかけになっています。
お店と美容師の重視度比較
- 「お店派」が46.4%
- 「美容師派」が35.2%
- 年代が上がるにつれ「美容師派」の割合が増える傾向
美容行為で重要視していること
美容行動のなかで「時間をかけていること」 「お金をかけていること」「大切なこと」として「ヘアケア」と「スキンケア」が最も多く選ばれています。
- 20代くらいまでは「ヘアケア」や「メイクアップ」を重視
- 30代~40代くらいから「スキンケア」を重視
最後に
調べデータを基に考えるとやはり店舗経営では立地に依存しています。
多くの方の利用動機が『近い・通いやすい・通り道』だと予測されます。
以外だったのが、提供しているサービス内容別施設数の割合で記載があった、 直接顧客にサービスを提供している事業者が多く、従来の店舗ビジネスの『店舗で顧客を待つ事』をやめた時代になったのだと感じました。
しかし、店舗運営では固定客の割合・店舗数の比率のデータより『人に依存している』業態なのだと改めて感じました。
特に印象的な事が多くの顧客が『アドバイスや提案を望んでいる』事が実現できていない事の多さです。
問題を解決した人が『人を呼ぶ』事の重要性が軽視されている様に感じます。
人が人を連れてきてくれる事で、宣伝広告費や過剰な固定費を削減できる効果もあります。
また、顧客満足度が可視化でき、人事評価や自社の強みに役立つ可能性があります。
上記により、顧客の問題を解決する工夫が必要だと感じました。
・カウンセリング
・顧客管理
・情報共有する時間を設ける
美容室業界だけではなく、上記がサービスを受ける顧客にとって最適なのだと店舗開業.comはデータを基に考えます。
問題は店舗数の多さや客数が少ない、価格が高いなどではなく、顧客に寄り添っていない事だと感じます。
顧客と向き合い、進捗を確認し提案し、それを従業員全員で共有する。
何を当たり前の事と思う方もいらっしゃると思いますが、『ヘアスタイル・デザイン変更の提案希望』より、11.3%の人しか提案を受けていません。
勿論、望んでいない方が約65%いますが、いかに当たり前を行動する人が少ない事がデータより導き出されています。
そして、30代以下の顧客は、提案を受けたい割合が約50%で、提案を受けた場合の単価が増加しています。
顧客の問題を抽出し、問題解決を実際に行うソリューション型運営こそ、現代の顧客と直接接する業態には必要だと感じます。
美容とは『パーマネントウェーブ、結髪、化粧等の方法により、容姿を美しくすること』と定義されています。
お客様の問題を解決するサービスは何なのかを、今一度考えるきっかけとして、美容関連事業にご活用ください。