売上シミュレーションからカフェ経営が困難な理由を考える

以前、開業に必要な坪数を調査、掲載させていただきました。
店舗開業.comでは、坪数から売上シミュレーションを行い戦略を立てる事をお薦めしています。
今回は、更に実践的にする為、売上シミュレーションを活用し『何故、カフェの経営は上手く行き難いのか』を具体的に問題を抽出していきます。

*記載する内容は、店舗開業.comの主観や取り組みが反映されていますのでご了承下さい。

目次

必要な坪数の概要

カフェなどの厨房設備が少ない低単価店舗の飲食店の場合

  • 1坪当たり席数が2.0席と言われています。
  • 調理場の構成坪数は全体の坪数の2割だと言われています

売上シミュレーション

売上シミュレーションの概要

  • 必要な坪数を基に席数を設定
  • 例題はカフェチェーン類似業態の場合を想定
  • 家賃・売上を固定
  • 固定費・変動費の比率を固定
  • 坪数の変化で売上・利益がどの様に変わるかシミュレーション
例題)図-1

店舗運営の売上は席数に依存する

  • 売上シミュレーションの概要で算出すると、カフェ業態だけではなく店舗運営は坪数と席数に売上が依存します。
  • 単純に坪数(=席数)が2倍になると売上・利益ともに数値が2倍になります。
  • 上記は、坪単価という指標で表現できます。

売上シミュレーションより売上を細分化

売上を分解し細分化

売上シミュレーションで、売上が坪数(=席数)に依存する事がわかりました。
しかし、上記はシミュレーションしなくても、カフェ業態でなくても誰でも判断できます。

概要を基に、何か足りないのではと感じ、店舗開業.comは更に売上シミュレーションを詳細にする為に、売上を分解し細分化、各項目を見直してカフェ経営の実態を把握します。

例題)図-1 項目の細分化

細分化項目

例題)図-1を細分化した場合、変えられる項目と変えられない項目が算出できます。

  • 変えられる数値として変数項目を抽出
    • 店内売上
      • 客数
      • 席数
      • 席稼働率
      • 滞在時間(=回転率)
      • 営業日、営業時間
    • テイクアウト
      • レジ設置台数
      • 1時間当たりの対応客数
  • 変えられない数値として定数項目を抽出
    • 客単価
    • 坪数

店内売上:変数

(例題)図-1 店内売上 細分化項目

席数

  • 1坪当たりの席設置数で導きます。
  • 席数=売上最大値になる為、席数からの脱却が必要です。
    • テイクアウトを強化する事で、席数からの依存の脱却を図ります。
    • カフェ業態以外ですと、立食型の貸切営業などが席数に依存しない方法です。

席稼働率

  • 2名席を2名で利用すると席稼働率は100%となります。
  • 席利用可能人数は対応人数を変動できる席も設け機械ロスの防止も必要もあります。
  • 競合から利用人数の構成比率を予測し対策を講じます
    • 例)1名が多い場合は、片方の椅子を無くし、空いたスペースを活用し席数を増加させるなどの対策が必要です。

客数

  • 客数は席数×滞在時間×席稼働率×滞在時間(=回転率)に依存します。
  • 席数と席稼働率を考察すると、大手カフェチェーンのテーブルが丸型や小さいコトには席数と積稼働率を考え、客数を最大にする施策だとも想像できます。

滞在時間(=回転率)

  • 営業時間での利用滞在時間を算出します。
  • 滞在時間が1時間と2時間では売上が2倍になる程、店舗運営では影響を受けます。
  • 低単価のカフェなどの業態では長時間の滞在は死活問題だと考えています。

テイクアウト売上:変数

例題)図-1 テイクアウト 細分化項目

レジ設置台数

  • カフェなどのテイクアウトやセルフサービスがある業態の場合は、レジ設置台数も売上の要因です。
  • レジ設置台数が回転率になり売上の増加が図れます。
  • 1時間当たりの対応客数にも影響する項目だと考えていますので、効率的に運営したい項目です。
    • 端数の硬貨のお釣りを廃止したメニュー
    • タイムラグが無いレジシステムの導入

1時間当たりの対応客数

  • 図では、4分に1人の顧客対応と設定しています。
  • 2分で1人の顧客対応の場合、売上は2倍になります。
    • 機会ロスを削減するオペレーションの構築
    • 簡略化を図るマニュアル

カフェ業態の定数

客単価は不問

  • カフェ業態では競合が多く、また顧客が価格を知っている為、顧客のカフェに対する上限購入額があり、客単価の増加は見込めないと仮定しています。

坪数

  • 物件取得前は坪数を選べる変数ですが、物件取得事に変更できない定数となります。

カフェの経営が難しい理由

上記よりカフェの経営が難しい仮説が売上シミュレーションで導き出されます。

  1. 比較され単価を増加させる事が難しい
  2. 単価が増加させられない事で、客数に大きく依存する
  3. 客数に依存する事により、席数と積稼働率、滞在時間に依存する
  4. 席数と積稼働率、滞在時間に依存する事を解消する為、坪数の増加や従業員を多く雇用する
  5. 坪数の増加や人を多く雇用する事で、地代家賃・人件費が多くなる
  6. しかし、単価は増加できない

売上シミュレーションから分解し、カフェ業態の根本の問題である、客単価からコスト面に負担がかかりカフェ経営が難しい要因だと導き出し、薄利多売の状態を作っている構造が問題だと考えます。
また、差別化が難しい業態でもあると考え、どんなに美味しいコーヒーでも売り出す事が難しいと考えています。

*売上という数値項目から算出している為、他の要因は加味していませんのでご了承下さい。

売上シミュレーションの活用方法

客単価からの脱却

  • 価格が比較されないカフェ業態の考案
    • 抹茶カフェなどの顧客に価格がわからない業態での開業
      • ニッチの為、店舗も含め一貫して顧客への何を届けたいのかを明確にする必要があり、宣伝広告にコストが発生します。
      • ターゲットを絞り、ターゲットが存在するエリアでの運用も必要です。

席数と積稼働率、滞在時間からの脱却

  • 容器にこだわったテイクアウト専門のカフェ業態
    • レジと調理場所、備品保管場所だけなので、内装コストが抑えられるとも考えます。
    • オンラインショッピングでの贈呈品など特化した場合も上記と同じ理由です。
  • どれも競合が多く差別化は困難です。
    しかし、街々で見かけるのはスターバックスのロゴが入ったカップを持つ人々です。
    そこに依存からの脱却のヒントがある様に考えます。

コストからの脱却

  • 店舗として席数に依存しない場合、滞在時間を減少させ回転率を上げる必要があります。
  • その結果、レジ台数と従業員の人数に依存しコスト増加が考えられます。
  • コストから脱却するには、少数運営の効率的な仕組み作りが必要です。

カフェ=コーヒー店からの脱却①

  • 顧客が何を求めているのか考え店舗設計に反映させる
  • 六本木のリッツ・カールトン カフェ&デリの様に一杯約1,000円のコーヒー・紅茶などで、客単価が約3,000円ですがいつも繁盛している印象を受けます。
  • これらは『ブランド』として確立されており、顧客が望んでいるのは、美味しい・過ごしやすいではなく、ステータスや自身の欲望を叶える要因が強いと考えています。
  • 資金が少なくとも、顧客からの見え方を工夫し、『ブランド力=思い出して購入してもらう』事が必要になります。

カフェ=コーヒー店からの脱却②

  • 顧客の『不』をカフェとして解消し店舗設計に反映させる
  • 飲食店では『カップリング』、健康業界なら『パーソナル』サプリなど、お客様に寄り添い問題を抽出し解決案を商品として提供するサービスが当てはまります。
  • カフェ業態もコーヒー一杯で顧客のライフスタイルに影響を与えるサービスが必要なのかもしれません。

最後に

売上シミュレーションを利用する事で、必要な坪数から売上の細分化が図れ、違う角度から経営にアプローチできます。
今回は売上シミュレーションからカフェ業態の根本的な問題点が抽出させていただきました。
ABC分析の記事と同じで、数値は視える化が行え行動指針でも活用できます。
仮説を基に何を導きたいのか、その為に何を実施するのかが重要だと考えています。
PDCAで言う【P】の部分を仮説として立てると分析・実行を達成しやすくなります。

また、売上シミュレーションは予算設定にも応用できます。

この様な分析も店舗開業.comでは承っておりますので、ご一報いただければ幸いです。

売上シミュレーションを活用し、ボトムネックを明確にし、防止・改善の施策実地を行う事で、継続的に店舗運営が可能だと考えます。

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