STP(セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニング)フレームワーク

今回は、STPフレームワークです。
STPフレームワークでは、顧客やニーズを整理し、自社製品の強みを炙り出し、差別化ポイントを発見し、戦い方を把握できます。
店舗開業.comでは、自身の強みを活かせているかの判断としてフレームワークを活用します。

例えば飲食店の開業で考えてみましょう。
今回は、和食業態分析の記事を参考に、何処で誰に対して、自身の強みを活かした商品を提供すれば良いのかをSTPを使用し考えていきましょう。

目次

セグメンテーション(市場の細分化)

『サービスを本当に必要としているのはどのような顧客なのか』を明確に分ける事がセグメンテーションです。
セグメンテーションでは、一般的な指標を用います。

一般的なセグメンテーション指標

  • 人口統計的変数
    • 年齢、性別、家族構成、学歴、職歴など、統計調査を基に人の基本情報の指標
  • 地理的変数
    • 国、市町村、気候、文化、宗教など、地図や国の調査結果を基にした地理的要因の情報の指標
  • 心理的変数
    • 価値観、性格、ライフスタイル、購入動機など、アンケート調査やヒアリングを基に個人の心理情報の指標

セグメンテーションの実例

1次データである和食業態分析を活用し、指標に当てはめセグメンテーションを設定していきます。

(例)

  • 人口統計的変数
    • 和食利用者の年齢が60歳の男性の利用頻度が高い事がわかりました。
      また、他データより60歳以上の高齢者の人口が今後10年で2倍になる事がわかりました。
  • 地理的変数
    • 他データより、地域別での平均所得を基し活用します。
  • 心理的変数
    • 和食利用者の所得が500万円以上の場合、利用率が増加傾向にあるとわかりました。

ターゲティング(市場を絞る)

分割された市場の中から狙うべき市場を絞る事がターゲティングです。
無差別型、差別型、集中型と手段はありますが、強みを活かす事をメインに考えていきます。
セグメンテーションを基に強みを活かす市場を絞っていきます。

マップで可視化し絞り込む

上記を基に、セグメンテーションで算出した要点をエリアで絞っていく

(例)

  • 人口統計的変数を基に年齢と性別に絞る
    • 60代男性
  • 地理的変数を基にデータから所得が高いエリアに絞る
    • 東京都港区・目黒区・中央区
  • 心理的変数を基に所得が年間500万円以上が多いエリアに絞る
    • 東京都港区

上記により、
(例)ターゲティングは東京都港区の◯◯駅の所得が500万円以上の60歳男性となります。

ポジショニング(自分の立ち位置を決める)

自身の強みの優位性を他社と比較しポジショニングを設定する事で、商品をアピールし顧客に届けます。
似通ったポジションニングでは無く、明確に分けたポジショニングが必要です。

マップで立ち位置を明確にする

競合の特色も洗い出すと精度が高くなります。

  • 競合の単価の幅
    • 港区の和食店の単価
      • 単価7,000円が10軒
      • 単価20,000円が1軒

上記により、既存市場のポジショニングは、
(例)カッコ良く四季折々の日本古来の行事を単価1万円の和食で提供する事。と設定できました。

STPフレームワークを使用した結果

STPフレームワークを使用した結果、
(例)東京都港区の60歳男性がカッコ良く四季折々の日本古来の行事を単価1万円の和食で提供する事。が独立開業者の強みとなり戦い方となります。

上記の強みや戦い方を活かすために、店舗の外装・内装、メニュー構成、接客方法などをSTPフレームワークで導き出した軸を基に考え実行していきます。

最後に

上記は『既存市場STP』(造語:ここでは既存ニーズがある市場への参入とする)ですが、他にも『潜在市場STP』(造語:ここでは将来的に市場となり得る市場、例では若者向けの和食業態)など別軸でのSTPを作成する事をお勧めします。
一つの軸では出店エリアと予算が限られてしまい、目的である開業を行う上で障害となってしまうと考えている為、軸を多くする事で選択肢を多くし柔軟に対応する事ができます。
また、既存市場STPでは競争が多く、潜在市場STPでは宣伝広告など市場開拓に資本力が必要ですので、STP本来の戦略思考と実際の費用を比べて戦う場所を選定できるとも考えています。
STPに順番はありませんし、コンセプト設計の確認の要素も兼ね備えていると考えています。
今回は抽象的な和食店という括りで設定させていただきましたが、個人の強みでも設定可能です。
STPフレームワークは活用する事により、戦略の精度を高め、事業の成功率を上げ、他社と戦う事だけでなく、戦いを避ける事で事業を継続できる手段だとも考えています。
そして、誰に何を届けるのかが明確になる為、融資先に対し説明する手段にもご活用ください。

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